会報に寄稿(4/22 写真を追加)

某会報にプンチャック・シラット世界大会inシンガポールのレポートもどきを寄稿しました。
そこそこがんばって書いたし、日記のネタもないのでこちらにも載せてしまへ。

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皆さんはPencak Silat(プンチャック・シラット)というスポーツをご存知でしょうか?元々はインドネシアを中心としたマレー文化圏発祥の1000年の歴史を持つ伝統武道ですが、近年の各種伝統武道のスポーツ競技化の流れに倣い、1980年に国際プンチャック・シラット連盟(PERSILAT(プルシラット)) が創設されました。その結果、流派を問わずに共通ルールの下、空手でいうところの型にあたるseni(スニ)(演舞)と、組手にあたるtanding(タンディン)(試合)の2部門で技術を競うスポーツとして確立しました。現在PERSILATには31の国と地域が加盟し(驚くことにリストにはパレスティナの名前も!) 、2〜3年に一回、世界大会が開催されるまでに発展しています。東南アジア地域においては更なる普及に成功し、東南アジアスポーツ競技大会(東南アジアのオリンピック)では正式競技として採用されています。


 seni部門男子ソロ

空手やテコンドーなどの格闘系スポーツとの違いが見た目ではわかりづらいPencak Silatですが、一つ大きな違いを挙げるとすれば、イスラーム教徒が主導権を握っているスポーツだ、ということが挙げられると思います。各地に普及していくなかで当然のように、イスラーム教徒ではない選手やチーム・団体も増えてきています。それでも、元来がイスラーム色の強いマレー文化圏が発祥、というだけあり、ルールや運営において独特なものが見受けられます。
例えば、女子選手のtandingの場合、審判は女性です。セコンドには2名のコーチ(もしくは同チームの選手)がつくことが定められていますが、内1名は必ず選手と同性でなければいけません。つまり、女子選手のセコンドには少なくとも1名は女性コーチが居なければいけないのです。
服装もなかなかユニークだと思います。長袖長ズボンであるのはもちろん、上衣は空手や柔道のように左と右の身頃を着物のように合わせるタイプではなく、ハイカラーで幼稚園のスモッグのように頭から被るタイプになっています。また、女子選手や女性審判の中には、ヒジャーブを被っている人も珍しくありません。


 ヒジャーブをつけた女性審判(白い道着の人)

さらに言えば、今回、私が参加してきた第8回Pencak Silat世界大会の開会式はファーティハ章とDoaで始まり、閉会式はファーティハ章とDoaで終わりました。大会期間中、事務局が用意した食事は、イスラーム教徒が安心して食べられるHalalなものでした。Halalなものを別に用意するのではなく、Halalなものが用意されていたのです。来る3月末にフランスで開催されるOpen Championshipでは、事務局が用意する料理はマレー/インドネシア料理になる、と連絡が来ています。恐らく、Halalなものが準備されるのでしょう。
また、大会期間中、審判団は選手達より先に会場入りし、その日のイベント(試合等)に関するミーティングの後、イスラーム教徒の審判だけでなく全員で車座になってDoaをする光景も目にしました。勝利が確定した後その場でサジダする選手もまた、大会期間中に多く見られた光景です。
イスラーム教徒およびその子女が安心して出来るスポーツとして、また、イスラームの精神が反映されたスポーツとしてノンムスリムの間にPencak Silatが普及することを期待しています。興味を持たれた方は、私が世話人を務める教室の詳細な案内を差し上げますので、是非ご連絡を!!